日本企業の技術で世界の食料・水問題を解決
南アフリカのブドウ農家にて節水型農業の実証試験を開始
2019.08.23
(PDFはこちら)
株式会社鳥取再資源化研究所(本社:鳥取県東伯郡北栄町東園583、以下「当社」)は、南アフリカ・西ケープ州のブドウ圃場(生産者:UITVLUGT)において、当社が製造する多孔質発泡ガラス「ポーラスα」を用いた節水型農業の実証試験を開始しました。
本実証試験は、農林水産省補助の「アフリカ等のフードバリューチェーン課題解決型市場開拓事業」により実施されます。また当社技術を現地の環境にあわせるため、南アフリカ農業研究協議会(Agricultural Research Council、以下「ARC」)から、実証試験の設計や潅水量の調整方法など技術面の支援を受けます。
廃ガラスをリサイクルして製造されるポーラスαを土壌に混合することにより、土壌の保水性と通気性が向上し、節水と収穫量の拡大を同時に実現します。鳥取大学と共同で開発した本技術は、日本をはじめ、モロッコやソマリア、セネガルといったアフリカ諸国や、UAE、中国など多くの国で、果樹や野菜の節水栽培の成果を上げています。
【モロッコでのトマトの試験栽培結果】
灌水量約48%を節約し、収量が20%以上増加。 栽培圃場:スス・マッサ農業開発公団実証試験圃場 栽培期間:2015年9月~2016年4月 潅水方法:点滴灌漑 |
南アフリカは、アフリカ第2位の経済規模を誇り、ブドウやオレンジ、アボカドなどの果樹栽培が盛んです。一方で、水資源が恒常的に不足気味であることに加え、気候変動の影響による降水量の減少と干ばつの頻発により、農業用水の取水制限も一部地域では実施されています。日本と南アフリカの産学官連携となる本実証試験を通じて、現地に適した節水栽培技術の普及を目指します。
ポーラスαの導入作業は2019年8月16日に行われ、ARCのDr. Myburgは「干ばつは南アフリカの農業産業が直面する深刻な課題で、本技術により節水が可能となれば多くの農家に役立つだろう」とコメントしています。また、今回の実証試験を実施するブドウ農家(UITVLUGT)の代表のMr. Krielは「かん水量が節約できれば作付け面積の拡大が可能となり、全体の収量増が実現する。また、継続的にかん水量を節約できれば、干ばつが深刻化する時期のために貯水池の水を多く貯められ、有限な水を有効活用できる」と本技術に期待を寄せています。
南アフリカのみならず世界中において水資源の枯渇は深刻化しており、水の有効利用の必要性が高まっています。世界資源研究所(World Resources Institute)の2018年の調査[1]によると、人口増加に伴い2050年には、2010年比の156%の食糧が必要になると予測されています。肥料や種子の改良による食糧生産量の増加は期待できるものの、すでに総資源量のうち70%が農業向けに利用されている水資源は今後不足すると言われ、貴重な水資源の有効活用は今後世界全体で取り組む問題となっています。当社は今後も両国の産学官連携のもと、ポーラスαを活用し、食料・水問題をはじめとする地球環境課題の解決や、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献していきます。
ポーラスα写真 |
導入風景 |
【問い合せ先】 株式会社鳥取再資源化研究所 TEL:0858-49-6230 FAX:0858-49-6288 メール:info@t-rrl.jp (担当:国際事業部 澤田)
出典:[1] https://www.wri.org/blog/2018/12/how-sustainably-feed-10-billion-people-2050-21-charts